水虫

Athlete's foot

水虫とは皮膚の角質層にカビの一種が白癬菌に感染することで、激しいかゆみを伴ったり、
皮膚がただれたり、剥がれたり、もしくは水疱ができる皮膚の病気です。
水虫は足にできる場合が大多数ですが、足以外にできる場合もあります。

水虫の感染経路

水虫の原因である白癬菌は、足の皮や体から落ちる垢、剥がれ落ちた皮膚や爪などに潜んでいます。皮膚や爪が剥がれ落ちることで、水虫の患者さんと直接足が触れ合うことがなくても他の人へ感染します。家庭内では、足が触れるような場所を共有することが多いので、水虫は、家族間において最も感染しやすい傾向にあります。特にお風呂上りに使用するバスマットや、通気性が悪いトイレのスリッパ、じゅうたん、畳、カーペットなどは白癬菌が潜伏場所として好むので、水虫が感染の可能性が高くなります。また、水虫の原因である白癬菌は、「洗濯」と「乾燥」によっていなくなるので、家族間で水虫の方と、そうでない方の洗濯物を一緒にすることは問題ありません。家族内での感染を防止するためには、家の中のホコリやゴミを小まめに掃除することと、部屋の風通しを良くし換気するようにしましょう。
さらに、家庭外で考えられる感染経路は、スポーツジムや温泉、公共施設(プールなど)の更衣室の床やスリッパ等です。これらは不特定多数の方が日常的に利用しているので、注意が必要です。利用者の中に水虫の患者さんがいると、気がつかないうちに白癬菌を踏んでしまったり、触れてしまったりしている恐れがあります。しかし、白癬菌が皮膚に付着したとしても、すぐに感染するわけではありません。白癬菌が皮膚に付着した状態で、菌が増殖しやすいような高温多湿のジメジメした環境が整うことで水虫を発症します。仮に白癬菌が付着したとしても、その日のうちに洗って乾燥した状態を維持することで、水虫感染のリスクは下がります。ただし、白癬菌が付着した部分に傷がある場合は、傷口から菌が入り込んでしまい感染の可能性を高める場合があります。
感染防止対策として素足ではなく靴下を履くことで、できるだけリスクを避けましょう。水虫は靴下を履いていてもうつりますが、平織りの靴下(特にウールや綿素材のもの)は通常の靴下よりも菌を通しにくいです。人が多い場所を靴下で歩いた際には、帰宅後はすぐに足を洗って、靴下を履き替えるようにしてください。
また女性の場合、秋冬にかけてのブーツの着用で靴の中が蒸れ易くなることがあります。特にストッキングとブーツの組み合わせは高温多湿になりやすいです。ストッキングは靴下にくらべると吸収性が低いためです。
たとえ秋冬であったとしても、水虫の原因となる白癬菌の繁殖が活性化すると、かゆみが増したり、症状が悪化したりすることがあります。

水虫の予防

水虫は、日本ではおおよそ10人に1人が発症しているほど身近な疾患のひとつです。
水虫の予防として効果的なことは「清潔であること」と「乾燥させること」です。
具体的な対策としては、蒸れやすい靴やブーツなどを避け、足の指と指の間はしっかり洗います。家庭内で共有するバスマットは小まめに洗濯したあと天日干しにし、乾燥させます。スリッパや靴を天日干しすることも有効です。畳やカーペットなどの洗えないものは、掃除機をかけたり、定期的に濡れた雑巾で水拭きし、しっかりと乾燥させたりすることも大切です。

このように治療していきます

水虫は患部の症状に合わせて、薬(液剤、軟膏剤・クリーム剤など)を使用すると効果的です。市場に出回っている薬にも様々な種類があります。専門医による診断の下、ご自身の水虫のタイプを把握した上で使用することを推奨いたします。
また、水虫は基本的には防ぐことができる病気のため、毎日清潔を心がけた上で通気性を良くし、感染を未然に防ぐことが重要です。また、治療を開始した場合には以下の点に留意することが必要不可欠です。

  1. 白癬菌は患部を中心に広く寄生している場合が多いため、広範囲に薬剤を塗る。
  2. 患部の深層に菌が潜伏している場合が多いため、症状が見られなくたっても、1ヶ月は治療を続ける。
  3. 薬剤の浸透を促進するために入浴後に薬剤を塗布する。
  4. 白癬菌の増殖および二次感染を防ぐため、患部をいつも清潔にすることを心がける。
  5. 患部を乾燥させ、涼しく保つために通気性の良い靴・靴下を使用する。
こちらの記事の監修医師
医療法人坂本会 医師 飯 田 美 佐
平成9年北里大学医学部卒業、医師免許取得。
大学病院からクリニックまで20年以上にわたり数々の患者様の治療に従事。
平成30年より坂本クリニックに勤務、現在に至る。
所属:日本皮膚科学会
皮膚科勤務経験20年以上の実績をもとに患者様お一人おひとりの皮膚に関するお悩みに耳を傾け、お悩みの軽減および早期治療を心がけております。